近年、大阪府高槻市が「将棋の街」として注目されています。将棋の藤井聡太さんも、この高槻市にやってきて対局があります。
今まであまり注目されていなかった「高槻市」が、なぜ、「将棋の街」になりつつあるのか、見ていきましょう。
1.歴史的背景
江戸時代後期の将棋駒が、高槻城跡から47枚発掘されました。
一度に発掘される駒の数としては、全国で2番目に多い数なのです。
これほどの数が一度に見つかるのは全国的にも珍しいことです。
この発見によって、高槻市が将棋と深い関わりを持つ地域であることが考えられました。
2.近年の取り組み
関西将棋会館の移転
もともと大阪市福島区にあった関西将棋会館は、40年間多くの人に親しまれてきましたが、老朽化のため、移転・新設することになりました。
高槻市の誘致活動
高槻市長が東京将棋会館移転問題を取り上げたテレビ番組を見たことを契機に誘致を思いつき、地元出身の棋士桐山清澄に相談したことが始まりでした。
利便性と資金調達
新会館はJR高槻駅から徒歩1分という利便性の高い場所に建設されました。資金面では、高槻市と日本将棋連盟がふるさと納税型クラウドファンディングを活用し、多くの支援を集めました。
新会館の特徴
・2024年12月グランドオープン。
・地上5階建てで、1階は将棋道場と売店、2階は多目的ルームと対局室、3階は事務室・会議室・棋士室、4階5階は対局室です。
・対局室は大阪市福島区の現在の会館と比べ、和室が1室増え6室になり、新たに洋室が1室設けられました。
・外観は将棋盤をイメージしたデザインで、中庭や広い棋士室なども設けられています。
・高槻市は「将棋のまち推進条例」を施行し、新会館周辺には公園も整備されました。
自治体として積極的支援、地域振興策
日本将棋連盟との包括連携協定
2018年、高槻市は日本将棋連盟と包括連携協定を締結しました。この協定により、タイトル戦の誘致やイベント開催など、将棋を活用した地域振興が進められています。
「将棋のまち推進条例」の制定
高槻市は2024年に全国初となる「将棋のまち推進条例」を制定しました。この条例は、将棋文化の振興を計画的に推進し、「将棋のまち高槻」としての魅力ある地域づくりを目指すものです。
子ども向け教育プログラム
小学校1年生への地元産木材を使った将棋駒とルール解説本の配布を行います。
また、小・中学校のクラブ活動など、プロ棋士の派遣を行い、プロ棋士による出前授業を行います。
そして、子ども向け将棋教室や少年・少女大会の開催もあります。
イベント開催
「高槻将棋まつり」など、市内で公開対局やトークショー、多面指し体験などを含むイベントを実施します。
王将戦などタイトル戦の誘致と開催をします。
また、高槻市立しろあと歴史館では、発掘された将棋駒の常設展示が行われており、市民や観光客が高槻の将棋の歴史に触れる機会を提供しています。
まとめ
関西将棋会館の移転を機に、当時の高槻市行政を行う人々の取り組みによって高槻市が大きく変わってきたことがわかります。