2025年の流行語大賞ノミネート語も、社会情勢や時事ニュース、SNSトレンドを反映した全30語が発表されました。
今年はAIや国際情勢、若者文化、ファッション、レトロブームなど幅広い分野から新しい言葉が生まれています。
カテゴリーごとに紹介していきます。
1. 社会・政治関連
トランプ関税

アメリカ大統領選挙で勝利し再登場したトランプ大統領が各国に対しておこなっている一方的な関税引上げ政策です。
自国の要求のみを強く示し交渉を展開するというトランプ政権のスタイルに世界が振り回されています。
働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相

自民党総裁選に選出された高市早苗新総裁が、決意を表明した際に述べた言葉です。
昨今の働き方改革でワークライフバランスも定着してきた今、「ワークライフバランスを捨てる」と表明したことには、賛否の声があがりました。
企業風土

企業のジェンダー配慮意識や職場の安全性に対する意識の低さが問題になった1年です。
組織としての危機管理能力や説明責任の欠如が露呈されたりもしましたが、社内にまん延していたとされる声を上げづらい風土など、業界全体での構造改革と意識改革が必要だと感じさせました。
立場の弱い人たちの人権が踏みにじられないようにしていくことが求められます。
教皇選挙

第266代教皇フランシスコが亡くなり、次のローマ教皇を選出する教皇選挙(コンクラーベ)がありました。
投票の結果、アメリカ人のロバート・プレボスト枢機卿が選出され、新教皇レオ14世が誕生しました。
また、同時期に日本で公開されていた映画『教皇選挙』(エドワード・ベルガー監督)も話題となりました。
緊急銃猟/クマ被害

改正鳥獣保護管理法の施行により9月1日に導入された、クマやイノシシが人の生活圏に出没した際に、市町村長の判断で市街地での銃猟を可能とする制度です。
近年、クマなどの生活圏への出没が増加傾向にあり、人身被害者数も増加しています。
地域住民の安全確保を迅速化する目的で導入されています。
物価高

ここ数年続く、食料品や日用品の値上がりと、それ以外のモノやサービスについての値上がりが相次いています。
世界情勢からエネルギーや原材料価格の上昇も続き、この状況がいつまで続くのか不安が絶えません。
卒業証書19.2秒

学歴をめぐる問題で連日世間をにぎわせた静岡県伊東市の市長が、市議会に求められた卒業証書を19・2秒「チラ見せ」したと報道され、話題になりました。
2. メディア・メディア・文化
オールドメディア

新聞・テレビといった歴史のあるメディアを「オールドメディア」と位置づけ、不要なもの、偏ったものとみなす風潮があります。
TikTokや切り抜き動画など短時間で見られ一瞬で理解できるようなSNS戦略ばかりがもてはやされますが、オールド批判をしながら熱狂を作り出すネットの世界に流されるばかりでなく、見分ける力をつける必要があります。
チャッピー

アメリカの企業オープンAIが公開した、AI(人工知能)を使って自然な会話が行えるサービス「ChatGPT(チャット ジーピーティー)」の愛称です。
ビジュイイじゃん

男性ボーカルダンスユニット「M!LK(ミルク)」の楽曲「イイじゃん」が話題になりました。
TikTokでの動画投稿も話題をよび、セリフ部分の「今日ビジュイイじゃん」が流行語になっています。
オンカジ

オンラインカジノの略称です。
国内から海外のオンカジサイトを利用して金銭を賭けることは賭博罪にあたりますが、スポーツ選手や芸能人などの利用が相次いで明らかとなりました。
海外のカジノサイト自体は合法のこともあり、罪の意識を感じにくいのです。
気軽に始められることもありリスクを感じさせにくい仕組みにも問題があります。
ギャンブルですらなく「仕組まれた依存症」だとNHKスペシャルで実態を明らかにしたドキュメンタリーも話題になりました。
チョコミントよりもあ・な・た

女子高生のアイドル活動を描くメディアミックスシリーズ「ラブライブ!」のラジオ番組から声優3人の期間限定ユニット「AiScReam(アイスクリーム)」が誕生しました。
デビュー曲「愛◇スクリ~ム!」(◇=ハート)がTikTokで話題になり、曲の途中に出てくるセリフ部分が注目されました。
平成女児

1990年代後半から2000年代初頭に小学生だった女子(現在20~30代)が当時のキッズ文化を懐古する流行です。
平成レトロの派生ともいえます。
パステルカラーやリボン、ハートなどのモチーフへの再注目を指しています。
3. 生活・トレンド消費
おてつたび

お手伝い(短期アルバイト)と旅をかけあわせた造語です。
人手不足に悩み働き手を求める地方の宿泊施設や農家と旅先で働きたい人をつなぐサービスの一つです。
古古古米

コメ価格の高騰が社会問題化した「令和の米騒動」がありました。
政府が備蓄米を放出、安価なコメを買い求める行列が各地で発生し、備蓄米には古米、古古米、古古古米、古古古古米まで1年ごとに区分があり、この呼び名も注目されました。
味への不安や活用法なども話題になりました。
長袖をください

TBS系「水曜日のダウンタウン」のコーナー「名探偵津田」でお笑いコンビのダイアン・津田篤宏が発した言葉が話題になりました。
ぬい活

ぬいぐるみ活動のことを指します。
好きな「ぬい(ぬいぐるみ)」と行動を共にするために、バッグに付けたり、外出先・旅先でぬいの写真を撮影したり(ぬい撮り)、ぬいの服を自作したりします。
推し活文化とぬい撮りの文化が合流して、ここ数年で定着してきました。
麻辣湯(マーラータン)

中国・四川省発祥の麻辣湯(マーラータン)はしびれる辛さと唐辛子の辛さをあわせもつスープです。
具材や辛さなどを自分好みに調整(カスタマイズ)できるところも人気の秘訣であり、24年の後半から認知度があがり、専門店が増加しました。
薬膳

季節にあわせた旬の食材の組み合わせと、薬膳効果のある食材を取り入れることでできる、からだをととのえる身近な料理として流行しているのが薬膳です。
NHKのドラマ『しあわせは食べて寝て待て』の話題もあり、自分でもやってみたいと思う層が増えたことで身近なものとして定着してきました。
レシピ本が書店の棚をにぎわし、さらなるブームが続いています。
ほいたらね
NHK連続テレビ小説『あんぱん』の舞台となった高知県の土佐弁で、またねの意味です。
朝の15分の物語のラスト、ナレーションで聞けることもあれば劇中のセリフとしても登場しました。
やさしい気持ちになる言いまわしで、思わず使いたくなります。
ほかにも「たっすいが」「たまるか」など数々の言葉も印象的でドラマの世界を広げました。
4. 気象・自然環境
二季(にき)

近年酷暑が続いている日本列島です。
地球温暖化の影響で、春夏秋冬という四季が、夏と冬の二季化している状況を指します。
7月5日
「7月5日午前4時18分に巨大津波が起こる」とする噂が拡散、海外にまで拡大し香港や台湾からの飛行機が減便・欠航する事態にまでなりました。
科学的な根拠はなく、気象庁や地震の専門家からは否定されたデマですが、発端となった書籍の話題も続きました。
戦後80年/昭和100年
2025年は戦後80年という節目の年であり、昭和100年という節目でもありました。
さまざまな番組企画や関連書籍の刊行も相次ぎました。
5.エンタメ・キャラクター
国宝

原作・吉田修一、監督・李相日(リ・サンイル)の映画『国宝』が幅広い年齢層で話題になりました。
上映時間は約3時間です。
「国宝観た?」が随所で飛び交うほど話題になっていました。
任侠に生まれ歌舞伎役者として引き取られた喜久雄と、歌舞伎の名門に生まれた俊介が芸の道に生きる、伝統×任侠×青春の物語となっています。
小説を読んでから観るか、観てから読むか、も話題になりました。
ミャクミャク

大阪・関西万博の公式キャラクターです。
誕生当初は不気味、怖いなどと不人気だったのが一転、大ブレイクしました。
ぬいぐるみ、キーホルダーなど多彩な関連グッズが販売されています。
ひょうろく

フリーのピン芸人です。
番組のドッキリ企画などでみせる「素なのか演技なのかわからない独特の表情」に魅力を感じる人がいるようです。
近年では、ドラマへの出演も多く、NHK大河ドラマ『べらぼう』やフジテレビ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』などにも出演しています。
ラブブ

香港出身のデザイナー、カシン・ローンが生んだウサギ耳とギザギザの歯をもつキャラクターが話題になりました。
K-POPアイドルBLACKPINKのリサが紹介したことで世界でブレイクしています。
高校生たちがスクールバッグにぬいぐるみなどをじゃらじゃらとぶら下げる文化も再燃しました。
エッホエッホ

「メンフクロウのヒナが草むらを懸命に走る姿」の写真が、海外のネットで話題になり日本ではその姿に「エッホエッホ」という擬音を添えて紹介されました。
シンガー・ソングライターが「エッホエッホのうた」を公開したり、エッホエッホ構文が定着、SNSでのショート動画投稿などで拡散していきました。
若者のあいだでは、急いで何かをしなければならない様子をあらわす際にも使われました。
自然・野生動物専門の写真家ハニー・ヘーレが撮影してネット投稿した写真です。
6. 健康・ファッション
リカバリーウェア

繊維に練り込んだ鉱物の遠赤外線による血行改善や疲労回復をねらった衣服が話題なりました。
からだから放射される赤外線を吸収し再放射することで体表を効率良く保温し、皮膚の血流や血液酸素濃度を高める効果が期待されます。
効率良く睡眠や休息をとりたい現代人のニーズを満たす製品となっています。
フリーランス保護法
2024年11月に施行されました。
個人で業務を請け負う性質上、不利な取引を求められることの多かったフリーランスの働き手を保護するものとなっています。
まとめ
流行語大賞は例年12月上旬に発表されます。
今後について、AI(人工知能)やテクノロジー用語が年々増加し、さらに会話やSNSのネタ感、情熱を重視した言葉が台頭していくと思われます。
また、昭和・平成レトロやご当地弁など、懐かし系の今後の注目は今後も続く傾向があり、気象・政治・物価など生活に直結する時事も候補になる可能性が高いです。
また、ファッションやコスメ関連は、SNS拡散・コラボの影響で流行語入りしやすく、日常会話にも定着しやすくなっていることが分かります。

