【大阪万博】パビリオン建物の特徴・モチーフ・見どころポイントは? part2

大阪万博では、見るだけでも楽しめるポイントがいくつもあります。
そのうちの一つが、各パビリオンの建物です。

海外パビリオンや国内の各パビリオンの建物は、どれも特徴的で、それぞれにモチーフや意味が込められているので、それを紹介していきます。

1.ドイツパビリオンの建築デザイン・特徴・見どころ

ドイツパビリオンの外観・建物の特徴

「循環」を体現するサークル状の木造建築
ドイツパビリオンの外観は、7つの円柱状の木造ユニットが接合して構成された、非常にユニークで未来的なデザインです。
この円形フォルムは「始まりも終わりもない円=循環」を象徴し、パビリオン全体がサーキュラーエコノミー(循環経済)のコンセプトを建築そのもので表現しています。

サステナブルな建築素材と設計
主な素材は再利用可能な木材で、万博終了後は解体して木材を再活用する計画です。
最先端のリサイクル素材やインテリジェントな空調設計も導入され、資源消費の最小化やCO2排出削減など、建物自体が持続可能性のモデルとなっています。

建築・景観・展示の一体化
円柱ユニットが連結することで、展示エリアとレストランエリアが一体となった空間を形成しています。
レストランに面したグリーンガーデンや屋外イベントステージも併設され、建築・景観・体験がシームレスに融合しているのが特徴的です。

夜間ライトアップとアート性
夜にはライトアップされ、幻想的な雰囲気になります。
まるでアート作品のような外観は、万博会場でもひときわ目を引く存在になっています。

ドイツパビリオンの展示と体験ポイント

テーマは「わ!ドイツ」―循環経済と調和
パビリオン名「わ!ドイツ」には、「環(循環)」「和(調和)」「わ!(驚き)」の3つの意味が込められています。
資源の循環やサステナブルな社会の仕組みを、楽しく体験しながら学べる空間です。

マスコット「サーキュラー」と冒険する体験型展示
入場時に手渡される球体型ガイド「サーキュラー」が、展示エリアをナビゲートします。
オーディオガイドや位置認識機能があり、展示ごとに解説やインタラクションが楽しむことができます。
サーキュラー同士をくっつけると色が変わるなど、循環やつながりを体感できる仕掛けもあります。

没入型の映像体験「サーキュラーと私」
床が回転する円盤の上に座り、360度の巨大スクリーンで森や未来都市の循環社会を体感できる、迫力ある映像体験が人気です。

エデュテインメントとイマージョン
「KAWAII」「EDUTAINMENT(教育×娯楽)」「IMMERSION(没入感)」をキーワードに、子どもから大人まで楽しみながら学べる展示が充実しています。

ドイツグルメとカフェ
地元食材を使った本場のドイツ料理やビールが味わえるレストラン「Oishii! Germany」も併設しています。
グリーンガーデンでくつろぎながら食事を楽しめるのは、ポイントの一つです。

2.フランスパビリオンの建築デザイン・特徴・見どころ

フランスパビリオンの外観・建物の特徴

劇場のカーテンを思わせる外観
フランスパビリオンは、まるで劇場の舞台を覆う巨大なカーテンのようなベールで建物全体が包まれているのが最大の特徴です。
洗練されたモダンなファサードは、大阪万博のメインエントランス正面に堂々と構え、来場者を非日常的な「美の劇場」へと誘います。

設計とサステナビリティ
設計はフランスのコルデフィ(Coldefy)とイタリアのカルロ・ラッティ・アソシエイツ(CRA)が担当しています。

金属製の構造体を使用し、パーツやユニットは再利用可能な仮設建築として設計されているのが特徴です。
外壁のダブルスキン(2重構造)は、熱の伝達を抑えて自然通風と組み合わせることで、エネルギー消費を削減します。
屋上には緑化が施され、雨水管理とヒートアイランド対策にも配慮されています。

神秘的で開放的なエントランス
エントランスは劇場のような開放感と神秘性を兼ね備え、ピンクの銅で覆われたスロープがレッドカーペットのように来館者を迎えます。

フランスパビリオンの展示と体験ポイント

テーマ「愛の讃歌」
パビリオンのテーマは「愛の讃歌(Hymne à l’amour)」です。
自己・他者・自然という3つの愛を通じて、フランスの美意識や哲学を建築・芸術・食・職人技で表現しています。

五感で味わう美の体験
建築、光、音、香り、アート、食など、五感すべてでフランスの「美」を体験できる空間設計がなされています。
静けさと温かみ、洗練と親しみやすさが共存する、まさに「美の殿堂」です。

・赤い糸のアート演出
人と人との見えない絆や思いやりを「赤い糸」で象徴的に表現しています。
日本の「運命の赤い糸」とも共鳴する演出で、文化を超えた共感を呼んでいます。

等身大彫刻やラグジュアリーブランド展示
グラン・パレ-国立美術館連合の鋳造工房による等身大彫刻4点が外周に並び、ルイ・ヴィトンやディオールなどLVMHグループの伝統的職人技やアート作品も展示しています。
フランスの卓越した美術工芸と現代のラグジュアリーが融合しています。

長寿の樹の庭園
展示の最後には、樹齢千年を超えるオリーブなど長寿の樹を配した庭園が広がり、自然との共生やサステナビリティを体感することができます。

グルメ体験
パビリオン内には本格ベーカリーやビストロ、ワインバーが併設され、本場フランスの食文化も気軽に味わうことができます。

3.マレーシアパビリオンの建築デザイン・特徴・見どころ

マレーシアパビリオンの外観・建物の特徴

設計とデザインモチーフ
マレーシアパビリオンは、世界的建築家・隈研吾氏が設計を担当しています。
外観の最大の特徴は、約5,000本の日本産竹を使って垂直に並べ、流れるようにうねる「リボン模様」を形作ったファサードです。
このデザインは、マレーシアを象徴する伝統織物「ソンケット」の優雅な模様をイメージしており、多様な文化が一つに調和し、未来へと伸びていく姿を象徴しています。

建築構造と素材
建物は鉄骨造・地上3階建て、延床面積は約2,400〜2,600㎡あります。
外装には日本産竹約4,800本、内装にはマレーシア産竹約380本を使用しています。
竹の持つ自然美とサステナビリティを強調し、南国植物の緑も取り入れたエコロジカルな設計が特徴です。

夜間のライトアップ
夜になると、外観は金色と銀色の糸がきらめくような幻想的な輝きを放ち、昼間とは異なる幽玄な雰囲気に変化します。
これは多様な文化遺産の豊かさと未来への希望を表現しています。

屋上庭園
屋上に上がることができ、自然や会場の眺望を楽しめる設計も特徴です。

マレーシアパビリオンの展示と体験ポイント

多様性と調和の体感型展示
パビリオンのテーマは「調和の未来を紡ぐ(Harmony in Diversity)」です。
館内では、バティックや伝統工芸など多民族国家マレーシアの文化紹介と、気候変動や都市開発など未来への取り組みを融合した展示を楽しむことができます。

五感で感じるマレーシア
香りや音、触感を使ったインスタレーション、民族衣装に触れる体験、熱帯雨林を再現した空間など、五感を通じてマレーシアの自然と文化を体験できます。

伝統舞踊や音楽のライブ
館内外ではマレーシアの民族舞踊や伝統音楽のパフォーマンスが行われ、異国情緒を存分に味わうことができます。

本場グルメと限定グッズ
ナシレマやサテー、ミーゴレン・カンポンなど、マレーシア本場の多国籍料理が味わえるフードブースが人気です。
カラフルな雑貨や万博限定グッズも充実しており、お土産選びも楽しむことができます。

4.スペインパビリオンの建築デザイン・特徴・見どころ

スペインパビリオンの外観・建物の特徴

・テーマ「黒潮(Kuroshio)」
スペインパビリオンは「黒潮(Kuroshio)」をテーマに、海と太陽を象徴するデザインが特徴です。
黒潮は16世紀の大航海時代、スペインがアジア航路で利用した海流であり、日本とスペインの歴史的なつながりを象徴しています。

外観は「海と太陽」
建物正面には海を表す青色の階段が設置され、入り口はオレンジ色の円形で「海と太陽」のイメージを強調しています。
全体のフォルムは有機的な曲線を用い、海の流れや太陽のエネルギーを感じさせるデザインになっています。
スペインと日本の建築家やデザイナーが共同で手がけており、自然素材や再生素材を活用したサステナブルな建築にしています。

サステナビリティ
建物はリサイクル材や再生可能素材を使用し、エネルギー効率にも配慮しています。
そして、環境負荷の低減を目指した設計になっています。

SNS映えする外観
アイコニックなファサードはSNSでも話題で、万博会場でも特に写真映えするパビリオンの一つとして注目されています。

スペインパビリオンの展示と体験ポイント

没入型体験と映像演出
360度スクリーンによる没入型映像体験や、海中風景・海上風力発電をテーマにしたホログラム展示など、最新の映像技術を活用した体験型展示が充実しています。

歴史と未来をつなぐ展示
スペインと日本の歴史的な海のつながり(マニラ・ガレオン船、支倉常長の交流など)や、海底遺産の保護技術、カナリア諸島の藻類研究、ブルーエコノミー(海洋資源を活用した持続可能な経済)の紹介など、知的好奇心をくすぐる内容となっています。

芸術・文化イベント
「太陽の広場」では、スペイン現代アーティストの映像作品や、スペインから招かれたアーティストによる600以上の舞台芸術イベントが開催される予定です。

体験型展示とポストカード
展示の最後には「ビーチ」をイメージした黄色い空間が広がり、来場者はスペインの風景を描いたポストカード展示で旅気分に浸ることができます。

グルメ体験
館内にはスペインの定番料理「タパス」やピンチョス、ワイン、チュロスが楽しめるレストラン・カフェも併設され、本格的なスペイングルメを味わうことができます。

5.コロンビアパビリオンの建築デザイン・特徴・見どころ

コロンビアパビリオンの外観・建物の特徴

外観デザインのモチーフ
コロンビアパビリオンの外観は、ノーベル文学賞作家ガブリエル・ガルシア=マルケスの代表作『百年の孤独』に登場する「氷」にインスピレーションを得ています。
四角い氷を積み重ねたような独特のフォルムが特徴的で、物語の中で少年が初めて氷を見た印象的なシーンがデザインに反映されています。

素材と建築技術
建物の外壁には金属系サイディングや窯業系サイディングが使われ、内部には日本製鉄の高意匠性鋼板「FeLuce(フェルーチェ)」やブリキが装飾材として採用されています。
これらの金属素材は、氷の透明感や輝きを表現し、空間全体に上質な質感を与えています。

シンプルかつ機能的な構造
建物の形状はシンプルで、避難経路や空調・換気などの安全性にも配慮された設計となっています。

コロンビアパビリオンの展示と体験ポイント

「水」と「黄色い蝶」が導く五感体験
パビリオンの中心テーマは「水」です。
南米で2番目に多くの淡水資源を持つコロンビアの豊かな自然と生物多様性が、香りや映像、音、触感を使ったインタラクティブ展示で表現されています。
来場者は象徴的な「黄色い蝶」に導かれながら、コロンビアの6つの観光地域(アマゾン、アンデス、カリブ海、太平洋、マシソ、オリノコ)を巡る没入型体験をすることができます。

文学と文化の展示
ガルシア=マルケスが実際に使ったタイプライターや『百年の孤独』日本語特装版などの貴重な展示品もあり、コロンビア文学の世界観に触れられます。

地域ごとの文化・特産品紹介
コーヒーやエメラルド、カカオ、伝統織物(ワユウ族・クナ族など)といったコロンビア各地の特産品や文化も紹介しています。
香りの演出やカラフルな展示で、コロンビアの多様性を五感で体感できます。

バーチャル体験・サステナビリティ
インタラクティブタッチパネルを使い、生物多様性や持続可能な観光、エコシステム保全の取り組みを楽しく学ぶことができます。

音楽・ダンス・ライブパフォーマンス
パビリオン外ではラテン音楽「クンビア」や伝統音楽「バジェナート」に合わせたダンスイベントやライブが行われ、陽気なコロンビアの雰囲気を体感できます。

美しい建築とフォトスポット
氷を積み重ねたような外観は写真映えし、カラフルな内部展示や「黄色い蝶」をモチーフにした演出もSNS映えスポットとして人気です。

6.カタールパビリオンの建築デザイン・特徴・見どころ

カタールパビリオンの外観・建物の特徴

デザインのモチーフは木造帆船「ダウ船」の帆
カタールパビリオンは、カタールの伝統的な木造帆船「ダウ船」の帆をモチーフにしています。
建築家・隈研吾氏が設計し、日本の伝統的な木組み技法や指物のエッセンスも取り入れられています。

建物本体は木造で、外側を真っ白な膜材で包み込むことで帆の曲線美を表現しています。
外構には池が設けられ、パビリオンが水面に映り込む様子が印象的です。
また、幕の下部はアーチ状になっており、カタールの伝統建築の意匠も反映されています。

光と自然素材の調和
白い膜と木材のコントラストが美しく、光や水、自然素材を活かしたデザインが特徴です。
日中は青空に映え、夜はライトアップで幻想的な雰囲気を楽しめます。

屋外と屋内のつながり
膜と建物の間には通路があり、夏場でも木陰をつくる工夫がされています。
建物自体が水に浮かんでいるような演出も見どころです。

昼と夜で異なる表情
白い帆と池の水面が織りなす建築美は、写真映えスポットとしても人気です。
夜はライトアップされ、幻想的な雰囲気に包まれます。

建築ファン必見
隈研吾氏らしい自然素材と現代的な構造美、そして中東と日本の文化融合が体現されたデザインは、建築好きにも高く評価されています。

カタールビリオンの展示と体験ポイント

展示は「海」と「陸」の2つのゾーン
パビリオンは「海」と「陸」の2つのゾーンで構成されています。
海のエリアでは、真珠産業や漁業の歴史を古地図やガラス玉で表現し、陸のエリアでは都市開発や港湾都市の発展を紹介しています。

カタールと日本のつながり
両国の海洋貿易や真珠交易の歴史、文化交流をストーリー性豊かに展示しています。
文化体験型アクティビティや「友情の巻物」など、両国の深い関係を感じられる展示もあります。

現代と未来のカタール
ドーハの都市映像や2022年サッカーワールドカップのハイライト、持続可能な都市開発やイノベーションの取り組みなど、カタールの急速な発展と未来ビジョンを体感することができます。

体験型・参加型の演出
伝統的なベドウィンテント風の休憩スペースでのコーヒー体験、無料のヘナタトゥー体験、靴を脱いで楽しむ映像体験など、五感で楽しめる仕掛けが豊富にあります。

伝統文化のライブ
パビリオン前のステージでは、カタールの伝統舞踊「アルダダンス」などが披露され、異国情緒あふれる雰囲気を味わえます。

グッズやお土産
外観デザインを施したトートバッグや、カタールをイメージしたステッカー、伝統工芸品なども販売されています。

7.インドネシアパビリオンの建築デザイン・特徴・見どころ

インドネシアパビリオンの外観・建物の特徴

外観のモチーフは「船」
インドネシアパビリオンの外観は、国の歴史と伝統の象徴である「船」をモチーフにしています。
これは、世界最大の群島国家インドネシアが、絶えず前進し、成長し、障害を乗り越えて持続的に航行していく力強いビジョンを体現したデザインです。

・建物は未来的な要素を融合
建物は鉄骨とコンクリートを基調に、木材やガラス屋根を組み合わせた現代的かつ温かみのある構造となっています。
伝統的な船の哲学を取り入れつつ、未来的な要素と融合したシームレスなデザインが特徴的です。

バリ建築の要素も
外観にはバリ建築の意匠も取り入れられており、東南アジアのリゾートを思わせる雰囲気も感じることができます。

インドネシアパビリオンの展示と体験ポイント

4つのエリア構成
パビリオン内部は主に4つのエリアに分かれています。

1.ウェルカム・エリア/ネイチャーエリア
入ると熱帯植物が配されたジャングル空間が広がり、ミニチュア熱帯林や滝など、インドネシアの自然美を体感できます。
また、熱帯雨林や海洋資源、動植物などはリアルに再現されており、大人も子どもも楽しめて高評価です。

2.没入型映像エリア
360度の円形スクリーンや大型LEDディスプレイを使い、水中・海・宇宙などの壮大な映像体験ができます。
床が動いているような錯覚を覚えるほどの没入感が特徴的です。

3.文化遺産エリア
1300以上の民族が育んだ多様な工芸品や伝統織物、武器、道具などが展示されています。
「Faces of Indonesia」と題した写真展示もあり、インドネシアの多様性を感じることができます。

4.未来エリア/新首都ヌサンタラ紹介
カリマンタン島に建設中の新首都「ヌサンタラ」のプロジェクトを、プロジェクションマッピングやジオラマで紹介しています。
インドネシアの過去・現在・未来をつなぐストーリー性が魅力です。
持続可能な都市づくりや、再生可能エネルギーの取り組みも解説されています。

体験型・参加型の仕掛け
アコーディオン状のベンチや、イベントステージでの観客参加型パフォーマンス、伝統舞踊やガムラン音楽のライブなど、来場者が五感で楽しめる工夫が随所にあります。

飲食・物販も充実
フードコーナーではナシゴレンやサテなど本場のインドネシア料理が味わえ、伝統工芸品や織物の販売もあります。

まとめ

それぞれの文化が表現され、環境に配慮したつくりになっていることが分かります。
また、最新技術を駆使し、その国ならではの演出も特徴的です。

それぞれの国の特徴を知ったうえで見てみると、また違った発見や感じ方があることでしょう。

koh
koh

はじめまして。kohです。
元公務員。好きなことや興味あることをしていきたくて転職しました。
趣味は一人旅。気になること、興味あることを記事にしていきます。
よろしくお願いします。

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