【大阪万博】パビリオン建物の特徴・モチーフ・見どころポイントは? part1

大阪万博では、見るだけでも楽しめるポイントがいくつもあります。
そのうちの一つが、各パビリオンの建物です。

海外パビリオンや国内の各パビリオンの建物は、どれも特徴的で、それぞれにモチーフや意味が込められているので、それを紹介していきます。

1.中国パビリオンの建築デザイン・特徴・見どころ

中国パビリオンの外観・建物の特徴

伝統的な書物「巻物」や「竹簡」をモチーフにした外観
パビリオンの外壁は、中国の伝統的な書道の巻物や竹簡を広げた形をイメージして設計されています。
このデザインは、古代中国の知と文化を象徴し、訪れる人に強い中国的要素と文化的雰囲気を与えることをねらいとしています。

五書体で刻まれた詩文
外壁には金文・篆書・隷書・行書・楷書の五つの書体で、論語や古代詩歌など計119の有名な漢詩や名文が刻まれています。
建物全体が巨大な書の芸術作品となっており、3,000年にわたる中国の文学遺産を体感できるようにしています。

サステナブル素材の活用
竹などの再生可能な自然素材が建築に多用され、「自然と共にある」という中国文化の思想を建物自体が体現しています。

約3,500平方メートルの最大級規模
中国パビリオンは海外パビリオンの中でも最大級の約3,500平方メートルあります。
会場の中心部「大屋根リング」エリアに位置し、圧倒的な存在感を放っています。

・「タイプA」自前建設型
国家の意思と技術力が反映された自前建設型(タイプA)で、構造的にも他国パビリオンと一線を画すようになっています。

中国パビリオンの展示と体験ポイント

テーマ:「人と自然の生命共同体を共に構築-グリーン発展の未来社会」
展示は「天人合一」「緑水青山」「生生不息」の3つのストーリーラインで構成され、伝統文化と未来科学技術の融合を体感できます。

文化・芸術・技術の融合
中国の伝統文化(書道、詩、竹簡など)と最新のサステナビリティ技術が融合した展示内容で、人と自然の調和やグリーン発展の未来像を提案しています。

多彩なイベント・体験
文化遺産パフォーマンス、観光プロモーション、経済フォーラムなど多様なイベントも開催され、訪問者が中国文化と未来社会のビジョンを多角的に体験することができます。

本格中華レストラン併設
パビリオン内には本格中華料理を楽しめる「魯園菜館」も併設されており、本場の食文化も体験することができます。

2.トルクメニスタンパビリオンの建築デザイン・特徴・見どころ

トルクメニスタンパビリオンの外観・建物の特徴

丸みを帯びた三角形のシルエットとドーム型天井
建物は丸みを帯びた三角形をベースにしており、象徴的なドーム型天井は「循環」「サステナビリティ」「生命の流れ」を表現しています。

大理石調の白い壁と金色の装飾
外観は大理石調の白い壁にゴールドの装飾が施され、まるで宮殿のような豪華さです。
夜にはライトアップされ、幻想的な輝きを放っています。

伝統と現代性の融合
ドームはトルクメニスタンの伝統的な装身具「グリヤカ」から着想を得ています。
外観はカラクム砂漠のイメージも取り入れられています。

トルクメニスタンパビリオンの展示と体験ポイント

3層構造の展示空間
1階:巨大な球体スクリーンや光・音を使った没入型映像で、トルクメニスタンの歴史・文化・自然を体感できます。

2階:エネルギー・産業・医療・教育・スポーツなど現代の発展を紹介していて、伝統医療に使われる薬草の展示もあります。

3階:トルクメン絨毯や刺繍、民族衣装など文化財の展示があります。
屋上テラスからは大阪万博のシンボル「大屋根リング」を一望でき、伝統的な「タプチャン」で緑茶や軽食を楽しむことができます。

・犬「アラバイ」の存在感
トルクメニスタン原産の犬「アラバイ」が象徴的にフィーチャーされ、黄金の犬像や犬をテーマにした展示が随所に登場しています。
現地文化を強く感じられるユニークなポイントの一つです。

香りや音楽、映像による五感体験
館内は香りや音楽、ダンスパフォーマンスなどで異国情緒を演出しており、まるで宮殿の中にいるような非日常感を味わうことができます。

本格トルクメニスタン料理
館内には国民食を味わえるレストランやカフェも併設されており、本場の食文化も体験することができます。

3.オーストリアパビリオンの建築デザイン・特徴・見どころ

オーストリアパビリオンの外観・建物の特徴

螺旋状の巨大な五線譜オブジェ
パビリオンのシンボルは、高さ約16メートルの螺旋状に空へ伸びる木製構造物です。
これは五線譜や音符をモチーフにしており、オーストリアの音楽文化を象徴しています。
外観から一目で音楽の国・オーストリアを感じられるデザインになっています。

サステナブルな木材利用
オブジェや建物にはオーストリア産のトウヒ材を使用しています。
PEFC認証を取得した持続可能な木材で、構造は「ねじ止め」方式で組み立てられているため、解体・再利用が容易にできます。
建材は現地でプレファブ化され、日本へ輸送後に現地組立されるなど、環境負荷低減と国際協力も体現しています。

モジュール式建築
建物本体もモジュール式の木造システムを採用しています。
万博終了後は別の場所で再利用可能な設計で、サーキュラーエコノミーを意識した建築になっています。

オーストリアパビリオンの展示と体験ポイント

テーマ「未来を作曲(Composing the Future)」
音楽を通じて未来を共創するというテーマになっています。
館内は「関係」「人」「アイデア」の3つのゾーンで、オーストリアの音楽史や社会・経済・技術の多様性を体験することができます。

AI作曲体験や遠隔ピアノ演奏
来場者がAIを使って未来の音楽を作曲できる体験型展示や、ウィーンから遠隔操作されるピアノ演奏など、音楽とテクノロジーの融合を体感することができます。

歴史的楽器の展示
1873年ウィーン万博で明治天皇に贈られた「エンペラー」ピアノのレプリカ展示など、日墺交流の歴史も紹介しています。

音楽イベントも充実
ウィーン少年合唱団の公演やモーツァルトの愛用ヴァイオリンによる演奏、オペラ「ドン・ジョヴァンニ」の上演など、音楽体験が豊富にできるようになっています。

レストラン&カフェ
伝統料理シュニッツェルやカイザーシュマーレン(パンケーキ)など、オーストリアの食文化も味わうことができます。

展望台やセルフィースポット
3階にはレストラン、4階には展望台があり、螺旋オブジェや万博会場を一望できる写真スポットとしても人気です。

イノベーション展示
オーストリア企業やスタートアップによるグリーンテクノロジー、ヘルスケア、モビリティ、クリエイティブ産業の最新プロジェクトも紹介しています。

4.シンガポールパビリオンの建築デザイン・特徴・見どころ

シンガポールパビリオンの外観・建物の特徴

シンボルは「ドリーム・スフィア」――高さ約17mの赤い球体
最大の特徴は、外観を象徴する高さ約17メートルの赤い球体「ドリーム・スフィア」です。
このデザインは、シンガポールの愛称「小さな赤い点(Little Red Dot)」からインスピレーションを得ており、約1万7,000枚のリサイクルアルミニウム製ディスクで覆われています。

また、ディスクは日本の「絵馬」に着想を得ており、1枚1枚が夢や願いを象徴しています。
これらが集合することで、未来への希望や共創のメッセージを発信できるようにしています。

・サステナブル建築と環境配慮
パビリオン全体がサステナビリティを重視して設計されており、リサイクル素材(アルミニウムや木材)を積極的に活用しています。

屋上には太陽光発電パネルを設置し、会期中に約15,000kWhのエネルギーを創出する予定です。
また、点滴灌漑システムの導入で景観維持の水使用量を60%削減するなど、環境負荷低減にも取り組んでいます。

これらの取り組みは、シンガポールの「City in Nature(自然の中の都市)」や「シンガポール・グリーンプラン2030」といったビジョンを体現しています。

シンガポールパビリオンの展示と体験ポイント

・テーマは「ゆめ・つなぐ・みらい(Where Dreams Take Shape)」
イノベーション、アート、サステナビリティが融合した展示空間となっています。
ドーム型の部屋では、来場者がタブレットで自分の夢を書き込むと、その文字が天井にプロジェクションマッピングで映し出され、プラネタリウムのような没入型体験をすることが可能です。

また、シンガポール独立60周年を記念し、現地在住者60人の夢や、アーティスト・デザイナーによる作品も展示されています。

多様性と共創のメッセージ
パビリオンは「多様性」と「夢の共創」を強く打ち出しており、世界中の人々がシンガポールの志に共感し、自分自身の夢を重ねることができる空間になっています。

・食文化とリラックス空間
1階にはシンガポール料理が楽しめるカフェ「シオック!カフェ」や、3階にはカクテルバーもあり、本場の味や雰囲気を楽しむことができます。

5.ポルトガルパビリオンの建築デザイン・特徴・見どころ

ポルトガルパビリオンの外観・建物の特徴

海の波を表現する約1万本のロープ
パビリオン最大の特徴は、外観を覆う約1万本ものロープです。
太さや長さが異なるロープが吊り下げられ、まるで波打つ海面のようなダイナミックな青のグラデーションを生み出しています。

ロープや外装にはリサイクル漁網などサステナブルな素材を活用し、建築自体が海洋保護のメッセージを体現しています。

これらのロープは万博終了後も再利用される予定で、環境配慮を徹底しています。

「脱建築」への挑戦
隈研吾建築都市設計事務所が設計を担当し、「建物」という枠にとらわれず、時間や光、風によって表情を変える“海そのもの”を会場に持ち込むような空間を目指しています。

ロープの隙間から差し込む光や、風でなびく様子が、訪れるたびに異なる表情を見せるようになっています。

ポルトガルパビリオンの展示と体験ポイント

テーマ:「海、青の対話(Ocean: The Blue Dialogue)」
ポルトガルと海の深い関わり、日本との500年にわたる交流、そして海洋保護・持続可能性への取り組みを発信しています。

展示は2つのエリアで構成され、1つ目は南蛮屏風や日本語に残るポルトガル語由来の言葉などを通じて両国の歴史を紹介しています。

2つ目のエリアでは、壁と床に約5分間のプロジェクションマッピングを投影し、海洋汚染の危機や保全の重要性を訴えています。

多彩な文化・技術体験
食、音楽(ファド)、デザイン、芸術、ファッション、映画、文学など、ポルトガルの多様な文化を体験できるプログラムを展開しています。

また、海洋科学、養殖、洋上風力発電、海底ケーブル、バイオエコノミー、ロボット工学、ナノテクノロジーなど、最先端技術も紹介しています。

サステナビリティと社会的メッセージ
建築資材や展示物にはリサイクル素材を多用し、展示後の再利用も徹底していきます。

また、ポルトガルの国土の97%が海であることから、海洋保護の国際的リーダーシップと責任を強調しています。

構成は、インタラクティブなマルチメディア体験や視聴覚インスタレーションで、来場者が海洋問題の現実と未来への希望を感じられるようになっています。

その他
1階には展示エリア、レストラン、グッズショップを設置しています。
2階にはポルトガル民謡「ファド」などの音楽パフォーマンスが楽しめるテラスも設けられています。

6.タイパビリオンの建築デザイン・特徴・見どころ

タイパビリオンの外観・建物の特徴

伝統建築「サーラータイ」「チョムハー」の融合
パビリオン外観は、タイの伝統的な東屋「サーラータイ」や屋根様式「チョムハー」を現代的にアレンジしたデザインが特徴的です。
右側全面が鏡張りとなっていて、左側半分の建築物と合わせて伝統建築物を表現しています。
木造を基調とし、タイらしい優美な曲線や複雑な籐のパターン、伝統色や素材が随所に使われています。

象の親子の木彫りオブジェ
エントランスでは、実物大の木彫りの象の親子が出迎えます。
象はタイ文化の象徴であり、豊かな自然や温かさを体感できる演出となっています。

自然と調和した癒しの空間
建物全体がリラックスできる雰囲気を重視し、自然素材や開放感のある設計、エネルギー効率の高い技術も融合されています。

タイパビリオンの展示と体験ポイント

テーマ:「いのちの未来社会をデザインする」「免疫の国」
タイが誇る医療・健康・ウェルネスを中心に、幸福や人と人のつながりを表現しています。

3つのゾーン構成
第1ゾーン:自然や伝統文化、健康の知恵をシアターやアートで紹介
第2ゾーン:医療・公衆衛生のデータや1万種類のヘルシーメニューをインタラクティブに展示
第3ゾーン:アロマやハーブを使ったセラピー、ヘルスケア製品の体験

本場のタイマッサージが無料体験
プロのセラピストによる本格的なタイマッサージ(10分間)を無料で受けることができます(予約制・整理券方式)。

多彩な体験型イベント
タイ式ヨガ、匂い袋作り、ポストカード配布など、五感で楽しめる体験が充実しています。

本格タイグルメとショップ
館内レストランでトムヤムクンやカオソーイなど多彩なタイ料理を週替わりで提供しています。
また、ショップではタイパンツやスパイス、キャラクターグッズも販売しています。

伝統芸能やショーも随時開催
タイ舞踊や音楽など、本場のショーに出会えることもあります。

7.韓国パビリオンの建築デザイン・特徴・見どころ

韓国パビリオンの外観・建物の特徴

・圧倒的な存在感の巨大スクリーン「メディアファサード」
建物北面には、幅27メートル×高さ10メートルもの超大型LEDスクリーン(メディアファサード)が設置されています。
そこには、韓国の四季、自然、文化遺産、最先端技術などがダイナミックな映像で映し出され、建物全体が光と映像に包まれる幻想的な演出が特徴的です。
夜間にはライトアップされ、特にSNS映えするスポットとしても注目されています。

大規模かつ機能的な建築
鉄骨造3階建て、延床面積は約4,860㎡、高さ17メートルと、海外パビリオンの中でも最大級のスケールを誇ります。
複数の展示館と本格的な韓国レストランを備え、動線も工夫されていて多くの来場者がスムーズに体験できる設計になっています。

韓国パビリオンの展示と体験ポイント

テーマは「真心(With Hearts)」
人と人、人と社会、自然とのつながりを、韓国の伝統文化と最先端技術を融合させて表現しています。

3つの展示ホールで、AIやK-カルチャー(K-POPなど)を取り入れた参加型展示を展開しています。
来場者が言葉を吹き込むとAIが光や音楽に変換する体験や、水素燃料電池の排水を使った植物栽培など、サステナビリティやイノベーションを体感できる内容です。

韓国文化を五感で楽しむ
レストランでは「八道料理」など、韓国各地の本格料理が味わうことができます。
K-POPのコンサート映像や韓流イベント体験コーナーも予定されており、食・音楽・エンタメを通じて韓国文化を満喫できます。

・日韓国交正常化60周年の記念
2025年は日韓国交正常化60周年です。
このパビリオンは、両国の友好と未来への交流を象徴する場として、特別な意義を持って作られています。

まとめ

それぞれの文化が表現され、環境に配慮したつくりになっていることが分かります。
また、最新技術を駆使し、その国ならではの演出も特徴的です。

それぞれの国の特徴を知ったうえで見てみると、また違った発見や感じ方があることでしょう。

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はじめまして。kohです。
元公務員。好きなことや興味あることをしていきたくて転職しました。
趣味は一人旅。気になること、興味あることを記事にしていきます。
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