万博では、ほぼ毎日「ナショナルデー・スペシャルデー」として式典やイベントを行っています。
「ナショナルデー・スペシャルデー」とは、それぞれの公式参加者の参加を称える日で、公式参加者の文化に対する理解を深め、国際親善の増進に寄与することを目的に行います。
当日は、公式参加者が国内外の賓客や一般の来場者を招いて行う式典と文化イベントが行われ、多様な文化や特色に触れ、楽しむことができます。
4月13日に万博が開幕して2日目、14日から早速行われたこのイベント。
5月24日(土)は「ハンガリー」です。
ハンガリーの国のことを少しでも知って万博に参加すると、また違った発見や楽しさがあるかもしれません。
この日以外も、パビリオンでは様々な取り組みが行われているので必見です。
1.ハンガリーの場所は?
ハンガリーは中央ヨーロッパに位置し、オーストリア、スロバキア、ルーマニア、セルビア、クロアチア、スロベニア、ウクライナと国境を接しています。
内陸国であり、首都はブダペストです。
ドナウ川が国の中心を流れ、地理的にも歴史的にもヨーロッパの交差点となっています。

2.ハンガリーの国の特徴は?
ハンガリーは独自の文化と歴史を持ち、特に温泉文化や美しい建築、豊かな音楽と芸術で知られています。
農業やワイン生産も盛んで、パプリカなどの香辛料や伝統料理も有名です。
ヨーロッパの中でも独特な言語と民族性を持つことが大きな特徴です。
3.ハンガリーの言語は?
公用語はハンガリー語(マジャル語)です。
フィン・ウゴル語族に属し、周辺諸国の言語とは大きく異なるユニークな言語体系を持っています。
英語やドイツ語も観光地などでは通じることがありますが、日常生活ではハンガリー語が主に使われます。
ハンガリー語講座
おはよう
Jó reggelt(ヨー レッゲルト)
こんにちは
Jó napot(ヨー ナポト)
さようなら
Viszlát(ヴィスラート)または Viszontlátásra(ヴィソントラーターシュラ)
ありがとう
Köszönöm(クスヌム)
4.ハンガリーの文化的特徴は?
ハンガリーは音楽(特にリストやバルトークなどの作曲家)、フォークダンス、伝統衣装、温泉文化、カフェ文化などが発展しています。
また、歴史的に多民族が交差したため、多様な文化的影響が見られます。
伝統的なイベントやフェスティバルも多く、食文化もパプリカを使ったグヤーシュ(シチュー)などが有名です。
5.ハンガリーの観光名所は?
漁夫の砦
漁夫の砦(Halászbástya / Fisherman’s Bastion)は、ハンガリーの首都ブダペスト、王宮の丘(ブダ城地区)に位置する真っ白なネオ・ロマネスク様式の建造物です。
7つの尖塔と美しい回廊が特徴で、まるでおとぎの国の城のような外観が印象的です。
漁夫の砦は、1895年から1902年にかけて、ハンガリー建国1000年を記念した市街地美化計画の一環として建築家シュレク・フリジェシュによって建設されました。
さらに、「ブダペストのドナウ河岸とブダ城地区およびアンドラーシ通り」としてユネスコ世界文化遺産に登録されています
「漁夫の砦」という名前は、かつてこの地に魚市場があったことや、ドナウ川を守っていた漁師ギルドに由来する説があります。
また、7つの塔はハンガリー建国神話に登場する7つのマジャール人部族を象徴しています。

ハンガリー国会議事堂
ハンガリー国会議事堂(Országház)は、ブダペストのドナウ川右岸(ペスト地区)に位置し、「ブダペストのドナウ河岸とブダ城地区およびアンドラーシ通り」としてユネスコ世界文化遺産に登録されています。
外観は、イギリスのウェストミンスター宮殿と同様のゴシック・リヴァイヴァル建築で、左右対称のファサードと中央のドームが特徴です。
建物長268m、幅123m、高さ96mと、ハンガリー最大かつ世界で3番目に大きな国会議事堂となっています。
歴史的背景として、1885年に着工し、1904年に完成しています。
オーストリアとの連合国家時代に「自治国家の象徴」として建設されました。
夜はライトアップされ、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を楽しむことができます。
また、ドナウ川クルーズからも、その美しさを堪能できます。

セーチェーニ鎖橋
セーチェーニ鎖橋(Széchenyi Lánchíd)は、1849年に完成したブダペストで最初の恒常的なドナウ川横断橋で、西岸のブダ地区と東岸のペスト地区を結んでいます。
全長は約375~380メートル、幅は約15~16メートルあります。
橋の主構造は、鉄板を鎖状につなぎ合わせた「アイバーチェーン」をメインケーブルに用いた吊橋で、当時としては画期的な工法でした。
巨大な石造りの主塔と、そこから吊り下げられた鎖状の鉄材が特徴的です。
建設はウィリアム・ティアニー・クラークの設計、アダム・クラークの監督で進められました。
1945年には第二次世界大戦で破壊されましたが、1949年に再建され、現在も当時の外観を忠実に残しています。
橋には電球が鎖状に連なり、夜間はライトアップされて幻想的な美しさを放っています。
ブダペストの「ドナウの真珠」と称される景観を象徴する存在です。
橋の両端には彫刻家マルシャルコー・ヤーノシュ作のライオン像が設置されており、橋の守り神として親しまれています。
橋の中央からはブダペストの街並み、王宮の丘や国会議事堂などを一望することができます。
特に夜景やイルミネーションは絶景です。
ドナウ川クルーズやゲッレールトの丘から橋全体を眺めるのも人気です。
また、セーチェーニ鎖橋はブダとペストの一体化、都市の発展、近代化の象徴でもあり、ハンガリーの誇りともされています。

ブダ城
ブダ城(ブダ王宮)は、ブダペストのドナウ川西岸、丘の上にそびえる壮大な城と宮殿の複合体で、ハンガリーの歴史・文化の象徴的存在です。
13世紀にモンゴルの侵攻を受けた後、ベーラ4世によって要塞として建設され、その後もゴシック、ルネサンス、バロック、モダニズムなど多様な建築様式で幾度も再建・拡張されてきました。
オスマン帝国による占領やハプスブルク家による再建、19世紀の革命、第二次世界大戦など、歴史の荒波に翻弄され、城は破壊と再建を繰り返してきました。
現在の建物は主に18世紀のバロック様式が特徴ですが、内部や一部外観には様々な時代の建築様式が混在しています。
ブダ城は「ブダペストのドナウ河岸とブダ城地区およびアンドラーシ通り」としてユネスコ世界遺産に登録されています。
城の中心部である王宮は、壮麗なバロック様式のファサードと装飾的な内装が特徴的です。
内部にはハンガリー国立美術館、ブダペスト歴史博物館、セーチェニ国立図書館などの文化施設が入っています。
国立美術館のドーム部分からは絶景を楽しむことができます。
複数のウィング(A~F)で構成され、中心には「ライオン中庭」があります。
門の近くには、ハンガリー建国神話に登場する伝説の鳥「トゥルル」の大きな像があり、人気の撮影スポットになっています。
また、城のテラスや庭園からは、ドナウ川、セーチェーニ鎖橋、国会議事堂、ペスト地区などブダペストの街並みを一望できます。
特に夕暮れや夜景は幻想的で、世界中から観光客が訪れます。

マーチャーシュ教会
マーチャーシュ教会(正式名称:聖母マリア聖堂)は、13世紀半ばにハンガリー王ベーラ4世によって建てられたゴシック様式の教会です。
ブダペストの王宮の丘に位置し、ハンガリー王国の歴代国王の戴冠式が行われた、国の歴史と深く結びついた重要な聖地となっています。
現在の姿は19世紀末、建築家シュレク・フリジェシュによるネオゴシック様式への大規模改修によるものです。
高さ約80~88mの尖塔、精巧な石造装飾、そしてジョルナイ製のカラフルなモザイクタイル屋根が特徴で、遠くからでもひときわ目を引いています。
ジョルナイ製タイルによる色鮮やかなモザイク屋根と、繊細な装飾が施された高さ約80~88mの尖塔は、教会のシンボルであり、ブダペストの絶景スポットの一つとなっています。
また、内部は鮮やかな壁画やステンドグラス、金箔や模様で彩られ、まるで芸術作品のような空間が広がります。
特にステンドグラス越しの光が幻想的な雰囲気を演出しています。
マーチャーシュ教会とその周辺(漁夫の砦や聖イシュトヴァーン像)は「ブダペストのドナウ河岸とブダ城地区およびアンドラーシ通り」としてユネスコ世界遺産に登録されています。

聖イシュトヴァーン大聖堂
聖イシュトヴァーン大聖堂は、ブダペスト中心部に位置し、1905年に完成した新古典主義様式の壮麗なカトリック教会です。
高さ96メートルのドームはハンガリー国会議事堂と並び、ブダペストで最も高い建造物として知られています。
名称はハンガリー初代国王であり、キリスト教化を推進した聖イシュトヴァーン(聖ステファノ)に由来します。
主祭壇奥には大理石のイシュトヴァーン像が祀られ、彼の「聖なる右手」(ミイラ化した右手)が礼拝堂に安置されています。
これはハンガリーでも最も重要な聖遺物とされています。
外観は2本の鐘楼と巨大なドームが特徴で、ギリシャ十字形の平面を持ちます。
内部は金色の装飾や精巧な壁画、ステンドグラス、モザイク画で彩られ、荘厳な雰囲気が漂っています。
主祭壇にはハンガリー画家による聖イシュトヴァーンの絵画も飾られています。
特にドーム天井には多くの窓があり、自然光が差し込むことで内部を明るく照らすようになっています。
エレベーターまたは階段でドーム上部まで登ることができ、ブダペスト市街やドナウ川を一望する絶景パノラマが楽しめます。
右側の鐘楼には重さ9トンのハンガリー最大の鐘が設置されており、その音色は街に響き渡ります。
また、6,500本以上のパイプを持つ大オルガンがあり、定期的にコンサートや宗教行事が開催されています。
荘厳な音色が大聖堂を満たし、文化交流の場にもなっています。

英雄広場
英雄広場(Hősök tere)は、ブダペストの中心部、アンドラーシ通りの突き当たりに位置する、ハンガリーを代表する歴史的な広場です。
1896年、ハンガリー建国1000年を記念して造られたこの広場は、ハンガリーの歴史と文化を象徴する場所であり、ユネスコ世界遺産にも登録されています。
広場の中央には高さ36メートルのコリント式円柱がそびえ、頂上にはハンガリー王冠と十字架を手にした大天使ガブリエルの像が立っています。
この円柱は「ミレニアム記念碑」と呼ばれ、ハンガリー民族の起源と歴史を象徴しています。
円柱の背後には半円形のコロネード(柱廊)があり、左右に7体ずつ、合計14体のハンガリーを代表する歴代国王や政治家、貴族などの英雄像が並んでいます。
ここには初代国王イシュトヴァーン1世やラースロー1世、マーチャーシュ1世など、ハンガリー史に名を残す人物が選ばれています。
広場には「英雄記念碑(Memorial Stone of Heroes)」も設けられており、無名戦士の墓としてハンガリーの自由と独立のために戦った全ての人々を象徴しています。
広場の両側にはブダペスト西洋美術館と現代美術館(芸術宮殿)があり、背後には市民公園(ヴァーロシュリゲット)が広がっています。
近隣にはセーチェーニ温泉や動物園などもあり、観光の拠点としても最適です。

セーチェーニ温泉
セーチェーニ温泉(Széchenyi Thermal Bath)は、ブダペストの市民公園(ヴァーロシュリゲット)内、英雄広場の近くに位置するヨーロッパ最大級の複合温泉施設です。
1913年に開業し、バロック・リヴァイヴァル様式の壮麗な建物が特徴です。
施設内には3つの大きな屋外プール(温泉プール、アドベンチャープール、スイミングプール)と、15以上の屋内温泉プールがあります。
水温は主に35〜38度前後で、日本の温泉よりややぬるめ。サウナやスチームバス、ジャグジーなども充実しています。
地下約1,250メートルから湧き出る2つの源泉を使用し、温泉水はカルシウム、マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、フッ化物、メタホウ酸などのミネラルを豊富に含みます。
関節痛やリハビリ、神経痛、消化器系の疾患などへの効能があるとされています。
歴史的建造物としての美しさも魅力で、館内外の装飾や彫刻はハンガリーの著名な芸術家によるものです。
また、温泉文化と芸術鑑賞を同時に楽しむこともできます。
地元の高齢者から観光客、カップルや家族連れまで幅広い層が集い、屋外プールではチェスを楽しむ姿も名物になっています。
流れるプールや打たせ湯、デッキチェアでのんびり過ごすこともできます。
アルコール飲料の販売もあり、リゾート感覚で楽しめます。
水着着用の混浴スタイルで、温泉というよりは温泉プールに近い雰囲気です。
持ち物も水着、タオル、ビーチサンダル、スイミングキャップ(プール利用時)などが必要です。
温泉に浸かりながらチェスを楽しむ光景はセーチェーニ温泉ならではの名物です。
また、ネオバロック様式の壮麗な建物や彫刻、装飾を鑑賞しながらの入浴体験もできます。
その他、マッサージやエステ、各種トリートメントも充実しています。
夜間営業もあり、ライトアップされた温泉施設は幻想的な雰囲気を楽しめます。
週末には温泉パーティーなどのイベントも開催され、エンターテイメント性も高いです。

エステルゴム大聖堂
エステルゴム大聖堂はハンガリー北部エステルゴム市に位置し、ハンガリー・カトリック教会の総本山です。
高さ約100メートル、直径約53メートルの巨大なドームを持つ新古典様式の建築で、国内最大、中央ヨーロッパでも最大級の教会建築です。
約1000年、ハンガリー初代国王イシュトヴァーン1世が築いた教会が起源です。
その後、火災やトルコ軍による破壊を経て、1822年から約50年かけて現在の姿に再建されました。
8本の大列柱が印象的なファサードと、ドナウ川を望む丘の上という立地が特徴です。
丘の上に建つため、遠くからでもその壮大な姿がよく見え、特に川や対岸のスロバキア側からの眺望が美しいと評判です。
建物全体は空から見ると十字架の形になっており、声が天に届きやすいように設計された音響効果も特徴です。
正面祭壇には、ベネチアの画家ミケランジェロ・グレゴレッティ作「聖母マリアの被昇天」が飾られています。
これは一枚のキャンバスに描かれた祭壇画として世界最大級です。
祭壇左側には、赤大理石で造られたバロック様式のバコーツ礼拝堂があり、大聖堂よりも古い時代のものとして歴史的価値が高いです。
祭壇右側には宝物館があり、歴代ハンガリー王の肖像画や聖具など約350点の貴重な品々が展示されています。
図書館には中世の貴重な書物も保存されています。
ここにはハンガリー最大級のパイプオルガンが設置されており、コンサートも開催されます。
その音色は圧巻で、音楽ファンにも人気です。
ドームの展望台からはエステルゴムの街並みやドナウ川、スロバキアの風景まで一望でき、絶景スポットとして知られています。
大聖堂地下には歴代の司教や大司教、ハンガリーの重要な宗教指導者の墓があり、歴史の重みを感じることができます。

センテンドレ
センテンドレは、ブダペストから電車で約1時間の場所にある小さな町で、石畳の道とパステルカラーのカラフルな建物が並ぶ、まるで童話の世界のような可愛らしい街並みが最大の魅力です。
細い路地や坂道が入り組み、どこを歩いても絵になる風景が広がっています。
古代ローマ時代からの長い歴史を持ち、14世紀以降は商業都市として発展してきました。
オスマン帝国から逃れてきたセルビア人をはじめ、クロアチア人やスロバキア人など多様な民族が定住したことで、セルビア正教会など異文化の建築や文化が色濃く残っています。
20世紀以降、多くの芸術家が移り住み、アートギャラリーやミュージアム、工芸品店が集まる芸術の町としても有名です。
ここでは、町の10人に1人がアーティストとも言われています。
メインスクエア(フェー広場)はセンテンドレの中心にある広場で、カラフルなバロック建築に囲まれ、中央にはペスト終焉を記念したバロック十字架が立っています。
人々が集い、屋台やカフェ、アートショップが並ぶ賑やかな場所です。
マジパン博物館は、マジパン細工で作られた驚くほど精巧な作品が並ぶユニークな博物館で、子どもから大人まで楽しむことができます。
フェレンツェイ・カーロイ美術館は、地元出身の画家フェレンツェイ・カーロイの作品を中心に、多彩な芸術作品が展示されています。
細い路地や坂道を散策しながら、ハンガリー伝統の「ケークフェシュトゥー(藍染め)」や刺繍、手作り雑貨など、個性的なお土産探しも楽しむことができます。
ドナウ川沿いでは、ベンチやカフェでのんびり過ごしたり、夏には川遊びや日向ぼっこを楽しむ人々の姿も見られます。

まとめ
ハンガリーは、ついつい写真に撮りたくなるような歴史的建築物がたくさんあります。
また、まるで絵のような街並みも魅力的です。
一度は訪れ、素敵な街並みを歩いてみたいものです。